「学まち連携大学」促進事業は、大学・短期大学や学生の力を地域の活性化の取組に活かす上で、地域との協働活動がゼミ単位や学生グループの取組だけではなく、大学・短期大学の組織的な取組へとつなげていく支援事業です。ここでは、事業の最終年度を迎えた各大学の取組状況をレポートしていきます。
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【Vol.3 同志社女子大学】
同志社女子大学では、「京町家を中核とした未来の京都まちづくりプログラム」として、下記の3つを柱に事業が展開されています。
ここでは、2019年7月13日に実施された、第28期「町家講座」についてご紹介します。
事業の中核をなす公開講座「町家で学ぶ京都の歴史と文化」は、上京区にある京町家「京まちや平安宮」を主たる会場として、2004年から実施されています。会場向かいにある老舗「山中油店」と町内会の協力の下、市民を中心とした一般参加者と、同大学のすべての学部学科生、他大学の学生などを対象に継続されています。
運営には正課外の活動として学生も積極的に参画し、参加者と講師が相互交流を図りながら、京都の歴史・文化の実態と継承における課題を考える機会となっています。講師陣は、京都の伝統芸能や歴史、文化に関連する多彩な顔ぶれとなっており、大学の講義では聞くことのできない、今日の生活文化に密着した話題が魅力となっています。
この日は、現代社会学部の学生が司会を担い、講師には京町家に特化した不動産業を生業とする「株式会社 八清」代表取締役の西村孝平氏が招かれ、「京町家の有効活用とリノベーション」をテーマに講義が行われました。
京都市内における町家は、過去10年間におよそ8,000件が消失し、古くからの町並みは失われつつあります。そのことに危惧を抱いた西村氏は、町家の売買やリノベーションを通じ、借家や宿泊施設、シェアハウス、コ・ワーキングスペースなど、現代の生活スタイルに合わせた先進的なビジネスモデルの創出に尽力されてきました。また、NPOや京都市、企業との協働により、京町家を存続させるための様々な取組に民間の立場から関わってこられた事例などが紹介されました。
こうした地道な取組の成果として、京町家を解体する際は届出が必要となる新しい条例が制定されたことや、銀行が京町家の売買をスムーズにする住宅ローンを取り扱うようになったりと、町家をめぐる状況は大きく変わり始めています。
西村氏は町家の魅力、世界に誇る日本の文化を私たちが見つめ直し、日本に残したい風景と心を未来につなぐきっかけになればと、3月8日(March 8)を「町家の日」として記念日登録し、その前後にまちやウィークと題したイベントを開催しています。また毎年、記念日には京都タワーがいつもと異なる色でライトアップされるそうです。
その他、インターネットで受験可能な「京町家検定」を立ち上げるなど、様々な角度から町家保存・活用の啓蒙活動に取り組まれています。興味のある方は一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
「京町家検定」ウェブサイト