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大学・地域連携シンポジウム

Symposium

大学コンソーシアム京都では京都市との協働により、市内における大学・学生と地域の連携事例を広く発信するとともに、地域連携活動に関わる大学・学生や地域団体等が交流する機会として、「大学・地域連携シンポジウム」を開催しています。
※2016年〜2019年は「大学・地域連携サミット」として開催。

– Information –

人口の1割に相当する約15万人の学生が学ぶ「学生のまち」、京都。学生たちは日々、地域と交わり、学び、暮らしています。本シンポジウムでは、「大学のまち京都・学生のまち京都」で地域と連携して活動する学生の取組をご紹介し、大学、学生、地域、様々な立場から考えます。

2021年度

2021年度は「地域連携活動の醍醐味」をテーマに、以下の内容にて開催しました。

日 時 2021年11月6日(土)14:00~16:15(13:30 受付開始)
テーマ 地域連携活動の醍醐味
会 場 キャンパスプラザ京都 4階第二講義室
(京都市下京区西洞院通塩小路下る東塩小路町939)
※新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインのみの開催とする可能性があります。
定 員 会場/50名
Zoomウェビナー/450名
※先着順
内 容

【第1部】 14:00〜15:00
≪花園大学≫
地域を調べ、声を聞く:花園大学「課題解決プログラム」におけるYouTube動画制作を通じた学び
登壇者:文学部教授 師 茂樹 氏

≪京都光華女子大学≫
まち全体で環境保全へ、SDGsを学ぶ
〜ショッピングモールと共働した地域連携活動〜
登壇者:地域連携推進センター長・キャリア形成学科教授
吉田 咲子 氏

≪龍谷大学≫
オンラインツールを活用した向島地域における高大連携型アクティブラーニングの挑戦
登壇者:政策学部准教授 井上 芳恵 氏

≪京都橘大学≫
どんな状況でも繋がることができる。
~作業療法を通じた実践例の紹介~
登壇者:健康科学部作業療法学科教授 小川 敬之 氏

休憩
【第2部】 15:10~16:10
トークセッション
第1部の登壇者に地域で活躍する学生と、学生とともに地域で活動する住民を交えたトークセッション
≪学生≫みらい発信局 おむすび静原応援隊
≪地域≫醍醐味eets会 髙向正和氏
参加費 無料
京都市 ・ 公益財団法人 大学コンソーシアム京都 共 催

開催報告

11月8日(土)にキャンパスプラザ京都にて、2021年度「大学・地域連携シンポジウム」を開催しました。オンライン(ウェビナー)参加も含め、京都だけでなく全国各地から、大学生や大学関係者、また企業・地域の関係者の方が多数参加されました。


<第1部>
第1部では、「学まち連携大学」促進事業採択校による事例報告が行われました。

花園大学文学部教授の師茂樹先生からは、地域連携の正科で、学部学科に関係なく受講することができる「課題解決プログラム」の取組を中心に、自身が取り組まれてきた地域連携活動の経過や思いについてお話していただきました。

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花園大学では、「禅的仏教精神による人格の淘汰」を建学の精神としており、「随処に主と作れば、立処皆な真なり」という言葉のとおり、主体的に行動できる自立性・自律性の養成に力を入れています。自己を知り、他社を受け入れ、社会に貢献する人間を育成するために、アクティブラーニングやPBL科目に取り組み、そうした流れで2020年に地域連携教育センターが設置されました。
大学教育が地域連携に関わる活動の形態には、継続性のある形態、継続性のない形態がありますが、課題解決プログラムは継続性がないタイプ。前期、後期に分かれた(通期の受講も可)、全学部全学科からの選択科目で、活動内容は毎年異なります。過去の例では、子育て中の親を支援するイベントの開催や子ども向けの防災イベント、そして子ども食堂を取り上げたYouTube動画の作成を実施しました。
課題解決プログラムを進めるにあたっての課題はいくつかあります。学生の入れ替わりにより継続的な活動ができないこと。他の土地から来て京都を知らないこと。また、問題を見つけようと地域に出た場合に、既に顕在化する問題の解決を求められたり、そもそも地域の人も意外と自分の地域のことを知らなかったりと、学生が自主的に地域を知る、「知り方」を学ぶ機会が少ないといったこともあります。例えばYouTube動画で取り上げた子ども食堂についても、子どもの貧困問題の解決と考えていたら主催側に「子ども食堂なんてなくなったほうがいい」という考えがあったり、実はその場所が町内会の補完機能を果たす大人の交流の場になっていたりすることも分かりました。大切なのは、地域の人々と対話すること。単に調査をして終わりとするのではなく、地域の人々と対話し、声を聞くことが大切かと思います。

京都光華女子大学地域連携推進センター長・キャリア形成学科教授の吉田咲子先生からは、SDGsに関連した施策を地域で取り組み、町全体の環境意識をあげるために、学生が企画する様子の紹介を中心に、京都光華女子大学を取り巻く地域連携活動についてお話していただきました。

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京都光華女子大学では、全学的に地域について学んでもらうために、キャリア形成学科は地域連携科目を必修としています。大学がある右京区は、他区に先駆けて大学と連携した地域連携を推進している区かと思います。
2011年には地域ゆかりの7大学と右京区役所とが地域まちづくりのための包括的な協定を締結しています。本日同席の花園大学も含め、区役所と定期的な会議も開いて情報交換しています。
以前から地域のショッピングセンターと連携した活動をしてきましたが、2021年度は、SDGsに関連した施策をショッピングセンターで発信し、地域住民とともにまち全体で環境意識を高める取り組みをしました。学生たちには、自分たちの活動は何のために行うのか、その取組がSDGsのどの達成目標と関係するかを理解しながらイベント趣旨を考え、企画をしてもらいました。実施したイベントは、ショッピングセンターにおけるスタンプラリーとモザイクアート、絵本配布とエコバック体験などです。参加者からは、学生が主体となって子どもの環境意識を高めようとしていることを喜ぶ声をたくさん頂き、地域と連携して学生が活動することの意義を感じました。また、わざわざ卒業生であるという声をかけてくださる方もおり、地域に大学があって自分たちの活動が認められたことに学生も嬉しかったと思います。ときとして頂く厳しいご意見も、悔しさから生まれる原動力につながったかと思います。「学まち連携大学」促進事業の申請事業名は「京で学び・京で働き・京に暮らす」としておりますが、学生には幅広く学びながら京都の文化と産業を知り、京都に愛着を感じ、京都に住みたいと思えるよう地域と連携する授業を強化していきたいと考えています。

龍谷大学政策学部准教授の井上芳恵先生からは、連携する京都文教大学と京都すばる高等学校との取組を中心に、伏見地域での地域連携活動について、オンライン活用や高大連携の視点を交えてお話していただきました。

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龍谷大学政策学部では、「地域公共政策士」の育成や、地域と連携した入門科目である「伏見CBL演習」、主に京都市外で展開する「政策実践・探究演習」など実践的なカリキュラムを設けており、京都文教大学・京都すばる高等学校との連携では、「まちぐるみキャンパス」をテーマに、伏見をフィールドとした地域連携の取組を進めています。
向島地域では、1970年代にニュータウンが建設されましたが、現在では人口も減少し、地域におけるつながりが希薄化するなどの課題があります。これまで京都文教大学、龍谷大学、京都すばる高校では、それぞれ向島地域に関わってきました。京都文教大学は2007年以降「向島ニュータウン春の祭典」への開催協力や「京都文教マイタウン向島」のニュータウン内への開設など。龍谷大学は2017年以降ニュータウンをはじめ、周辺地域の地域行事への参加や調査活動など。京都すばる高校も同時期から学校近隣地域での活動を展開しています。そして、京都文教大学と京都すばる高校は2020年に伏見区役所と連携・協力に関する包括協定を締結し、この地域の活性化の担い手として期待されているところです。
本事業では、向島地域で活動する各校の地域活動の連携を促進するために、動画教材を共同で開発し、オンラインも活用した授業等の連携を図っています。また、2021年10月に開催された「向島まつり」では各校の生徒・学生が、地域の魅力を地域の皆さんに知ってもらうためのリーフレットを協力して作成・配布したほか、地域の駒札を巡るウォークラリーの受付や地域の自慢・魅力の聴き取りなども行いました。
京都すばる高校との連携では、オンラインや大学での合同授業でグループワークによる意見交換や、地域の魅力・課題に関するプレゼン対決なども行っています。
地域活動の現場には若い世代が少ない状況ですが、様々な立場の生徒・学生が継続的に関わることで、地域も少しずつ変化していることを実感しています。京都文教大学とも今後オンラインも活用しながら正課・課外等での連携を進めていき、学び合いのコミュニティを展開していきたいです。

京都橘大学健康科学部作業療法学科教授の小川敬之先生からは、団地において実施した課題解決や、オンラインを使用した多世代交流などの取組を中心に、「つながり」の大切さを実践したことについてお話していただきました。

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京都橘大学健康科学部作業療法学科では、障がいを持たれた方が地域で暮らしやすくするための学びの時間を設けています。団地に暮らす住民の方の声を聞くために実施したアンケート調査では、約2000戸に対して868件の回答があり、多世代交流の場のニーズがみえてきました。
意識を持った専門職を育てるためには学生は、教室ではなく地域に出て、地域の課題を体感しながら考えていくことが必要かと思います。「地域包括ケアシステム演習」は学生が地域に入って課題を体感する科目ですが、とにかく地域とつながってみるためにイベントを実施しました。2020年1月に実施したイベントは盛況で、地域の方からも次回を楽しみにする声が聞かれましたが、コロナ禍の影響により対面での取組ができなくなり、学生、高齢者とも「楽しいと思うことが減った」「人と話す機会が減った」という声が聞かれるようになりました。
そこで、コロナ禍でもなんとか楽しいことをやってはどうかと、WEBを介したつながり方を模索。あたかもそこに居るかのように学生を等身大で映したり、家に帰ってもつながりを感じるために宿題を出すといった工夫を凝らしたイベントを実施し、団地の方からは「久しぶりに笑った」「若い人とのやり取りでこっちも元気になる」など多くの喜びの声が聞かれました。
老人クラブとの「ものづくり教室」でもオンラインでつながる工夫をしました。目の前で作業しているように見せる撮影の工夫に加え、PC操作の練習も4日間かけて行い、無事オンラインの「ものづくり教室」を開催することができました。参加者からは「こんなことができるなんて、思いもしなかった。長生きしてよかった」といった声が聞かれ、後日、独自で万葉集の会や読書の会を企画するグループもあったそうです。
どんな状況でも人とのつながりを大切にし、色々な人と出会ってつながることが大切だと思います。


<第2部>
第2部では、第1部の登壇者に、地域で活動する「醍醐味eets会」髙向氏と「みらい発信局 おむすび静原応援隊」住氏を加えたトークセッションが行われ、それぞれの想いを共有しながら持続可能な地域連携活動について探りました。
来場者からも活発に質問が寄せられ、大学と地域それぞれの立場から課題を発見し共有する良い機会となりました。

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