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Special Contents03

ソーシャルイノベーターに聞く!
リレーインタビュー企画

第2回 京都産業大学 滋野 浩毅 教授

Special Interview

京都から発信する政策研究交流大会 審査員の先生方によるリレーインタビュー企画がスタート!
政策研究交流大会についてのエピソードや、「都市政策」を通じて社会貢献を考える上でのヒントなど、大学の枠を超えてソーシャルイノベーターがお届けします。

◆滋野 浩毅 教授
京都産業大学 現代社会学部 現代社会学科
<専門分野>
文化政策、地域政策、まちづくり

Q1. 滋野先生から見た京都の課題について、ご専門の観点からどのように考えておられますか。

多くの人が実感しているのが、やはりオーバーツーリズムに関する課題かと思います。この課題について、具体的に活動をしているわけではありませんが、大学で「観光社会学」という授業を担当しており、観光にまつわる社会現象や観光客と地元住民間の問題などを取り上げています。
私の専門の一つに「文化政策」があります。そこでは、地域の文化、固有の価値を、いかに地域の活性化につなげているか、あるいは文化というものを通じて地域の人がいかに幸せに生きていけるかということを考えています。観光と文化政策は、双方を関連付けて考えることができるテーマだと思っています。
観光は、単に経済効果や観光客がたくさん来るということだけでなく、地域固有の価値、資源を観光客に見せるということでもあります。祇園祭を例に挙げると、それを支えているのは京都のまちの人々です。もっと広く考えれば、京都の観光資源そのものが、お寺であれ、神社であれ、それを支える地域の方々の力で成り立っています。世界を見渡してみても、どの都市もオーバーツーリズム対策は試行錯誤のようですが、そこに住む住民を軸とした地域の発展と観光都市としての持続可能な発展の両立を模索していく必要があります。

最近で言うと、NPOと地域の企業等が一般社団法人を設立し、祇園祭をエコにしていこうと活動している「祇園祭ごみゼロ大作戦」などもあります。私は以前、山鉾の曳き手のボランティアをしていたことがありました。「京都・祇園祭ボランティア21」という任意団体が、曳き手を募集している山鉾町と一緒にお祭りで曳かせていただくというものでしたが、祇園祭で鉾を曳くのを楽しみにして遠方から来られる方もいました。観光客にボランティアで協力してもらうなどといったことも「楽しみ」に繋がるものであれば不可能ではないかも知れません。
また、もう少し小さな範囲の地域に置き換えてみると、今は地元の小学校の文化祭が地域全体の交流行事になっていたりします。例えば、過疎化や人口流出などで小学校だけ、大人だけでの行事が成り立たなくなっている中で、それが世代間交流を作っていくきっかけの一つになっている事例も見受けられます。
小学生だけでなく、中学生や高校生も地域との接点をたくさん持っておく、地域をよく知ることが、郷土愛やシビックプライドに繋がり得るのではないかな。それは授業やゼミでも強調している部分ですね。

Q2. 学生が大学で学んだことを社会問題の改善、貢献など、そのように将来に繋げていくことを期待しておられますか。

「直接的な貢献」と、実際学んだことが直接役立つわけではないが、何らかの形で貢献できる「間接的な貢献」の2種類があると思っています。
例えば、「直接的な貢献」として、将来公務員になったとする。地域課題に関することであれば、実際に学生の時に見てきた地域課題と解決策について、具体的な政策立案や解決に導くことに寄与、貢献できるのではないでしょうか。
一方の「間接的な貢献」ですが、全員が公務員になったり地域の仕事をするわけではないし、企業に就職する学生も多い。その場合、実際にある課題に直面した時に、それに対してどういう解決方法を考えて実行していけばいいのか、学生時代に学んだことが経験として生きてくると思います。
ゼミでは綾部市を拠点に活動しているんですが、都市部と違って、人口減少や過疎に直面しており、実際に地域に入ってどういった課題があるか調査し、それに対して課題を解決し得るプロジェクトを立ち上げて取り組んでいこうとしています。実際に様々な課題を拾い出そうとする時に、地域の方にグループインタビューの場を設定したり、アンケートを作成したりという形で、今の学びが役立ってくると思います。そのほかにも、同じ地域で活動している他大学との接点ができたりと、世代間、大学間を超えて交流が生まれています。

Q3. 京都から発信する政策研究交流大会について、指導学生の大会出場のエピソードがありましたら教えてください。

私のゼミは今年の大会が初出場になるのですが、「いかにやる気になってもらうか」ですね。いくつかプロジェクトのアイデアはありますが、実際にチームとしての大会の発表テーマがまだ決めきれていないので、そこをどうしていくかが課題です。 プロジェクトは、基本的にどれか1つに絞るということはせずに、どれがうまくいこうが失敗しようが構わないので、やり方は学生に任せています。また、「書く」ということも重視していて、「実際にフィールドに行きました」だけで終わると、何を学んだのですか?になってしまう。それをしっかりと文章にまとめることによって、成果は何か、課題は何なのかということを明らかにして欲しいし、成果を記録として蓄積することが重要なので、書くことについてはうるさく言っています。
実は、私自身も大学院生時代に政策研究交流大会に出場しました。当時は山科地域のまちづくりの取組について論文を書きました。大学との連携で様々な取り組みが始まったばかりの頃で、大学生や大学が地域に入って、商店街や清水焼団地など、地域の人と連携しながら取り組むことによる様々な成果、課題などについて発表しました。ただ、取組の途中だったので、なかなか提言まではいかなかったのが、正直なところでしたが。
山科駅前の陶灯路は、私が大学院生だった頃に、当時の学部生たちが発案して作ったものなんです。清水焼団地の清水焼をどう活用したらよいか、知ってもらうためにはどうしたらいいのか、ということから始まり、清水焼団地の「陶器まつり」から発展してきて、山科駅前や醍醐中山団地あたりでだんだん広まっていきました。今では毎年の恒例行事になっていますね。

Q4. これから大会に期待することを教えてください。

自分たちの研究発表が、他の研究発表の中でどの程度の質を保っているのか、あるいは具体的な政策の現場において、どう位置づけられるのか知ってもらいたい。そうでないと井の中の蛙になってしまう。相対化して足りない部分は何なのか、もっと磨く部分は何なのかを知ることが他流試合なので、そこが交流大会で得てもらいたいところです。
大会には行政や地域の方も参加されていますが、その方々の前で発表する、といった機会も非常に有意義ですね。政策学って実際には何の役に立つんだろう、と考えている学生は結構いるのではないかな。政策過程論を学んだ学生ならば、理論は理解していると思いますが、学生は、実際の政策の現場でどのようなポイントがどう評価され、採用につながるのかということをやはり知りたいと思うんですね。大会では、ぜひ、その辺りを学んで欲しい。
また、行政や企業、地域の方などに自分たちの提案をどう受け止めてもらえるかということは、相手に委ねざるを得ないこともありますが、学生の提案が、これまであまり考えつかなったこと、思わぬ視点というものを提供する可能性もあるでしょう。
他に、政策に関わる関係者と学生との意見交換の場があれば、学生はやりがいをもてるし、自分たちの提案のどの部分が良い、どこが難しいなどといったことが、また違った視点で対話できるので、大会を通してそういう機会が増えることを期待しています。

<おわり>

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